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時代は移り変わります
2023年03月18日 (土) 22:27 | 編集
 
むか〜しむか〜しそのむかし、1980年代後半だったか、おいらが20代前半の頃、当時の若者の、特に男であれば、皆さんクルマが大好きで、色々な自動車雑誌を買ったり立ち読みしたりしていました。
だからクルマに対する知識は広く浅くありましたですねぇ。
おそらく世界中の自家用量産車(社会主義国のものを除く)のことをそれとなく知っていたんじゃないか、と。

だから自動車評論家の方々の著書も色々と読み漁りましたねぇ。
当時の著名な評論家に徳大寺有恒という方がいて、氏の有名な著作に「間違いだらけのクルマ選び」というのがあって、毎年刊行されておりました。
氏の持論はとにかく「日本車は安くて高性能で故障も少ないが、まだまだクルマそのものの魅力として欧州車に敵わない」というものでした。

だから、当時の日本で最も売れていたトヨタの「マークⅡ」に対しても辛辣で、「そもそも4ドアで4人乗りを前提としているはずなのに、屋根の高さを抑え室内を狭くして外見を重視しているという点で、これは相反する設計思想であり、コンセプトからしておかしい」と仰っておられました。


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そこへゆくと、メルセデスベンツに対しては非常に高評価で、「メルセデスの車づくりには一切の妥協がなく、4ドア車には十分な車高が与えられ、4人の乗員が長距離を快適にドライブするための設計思想が随所に盛り込まれている」などと絶賛しておられました。


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それに対して「カリーナED」のような室内高が非常に低い4ドア車は、「メルセデスが未来永劫絶対に作らない車」として酷評されておりましたねぇ。


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そんなわけで「日本車は設計思想からして一貫性に欠け、そんな車が売れてしまう日本のマーケットは未成熟であり、まだまだ欧州車には敵わない」というのが氏の結論でありました。
実際に、当時4ドアハードトップと呼ばれたスタイル重視の背が低く室内が狭いこれらの4ドア車は国内専売で、海外に輸出されておらず、日本独特のガラパゴス市場でもあったわけで、徳大寺氏の言い分にも説得力がありました。

ところがそれから時は経ち、氏が「絶対に作らない」と断言していたメルセデスも、フツーに外見重視の屋根が低く室内が狭い4ドア車を製造するようになりました。


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当時の徳大寺氏が今のメルセデスベンツのラインナップを見たら、どう思うんでしょう。
当時の日本車のデザインコンセプトは、実は時代の最先端を走っていて、ようやく欧州が追いついたのかもしれません。
いずれにせよ「時代は移り変わる」ということですね。
新しい試みを「皆はやっていない」という理由で切り捨ててはいけません。



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