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今の医療問題を象徴しちゃいませんか
2009年05月07日 (木) 20:18 | 編集
舛添厚生労働相は6日、発熱などした人が病院で診察を断られたケースが相次いでいることについて「医師法違反だ。医者の社会的義務として対応してもらいたい」と、不快感を示した。

う~む、、、マスコミの医療現場たたきが、また始まりましたか、、。

で、国民の間で、またしても医療不信が(煽られて)広がって行く気配濃厚です。


いやね、たしかに医者が「新型に感染するのは怖いから」診察拒否しているというのなら、これは困ったことですよ。
マスコミの報道では、ほとんどの国民はそういう印象を持ちますわな。

でもね、診察拒否の実態は、そこじゃないんですよ。


国は新型インフルエンザ発生時の医療機関への勧告として、下に記すような内容の文章を出しているんです。

で、文章は、いきなり「すべての医療機関において」ですよ。
「すべての医療機関」の中には歯科も当然のように含まれますわな。

はっきり申し上げますと、ここに書かれているようなこと、ウチは殆ど出来ていません。
つーか、全国にこんなことが出来ている歯科診療所は、おそらく皆無でしょう。

まぁ、一応歯科ですから、国も行政も大目に見てくれるでしょうか。
国民の目もそれほど厳しくはないでしょうか。(甘いですか?)


では、町中にある内科や小児科の開業医さんのところはどうですか?
皆さん行きつけの医院はどうですか?
ほとんどの医院では、こんな対応は出来ないはずです。


まずは金銭的な問題です。
そもそも、下記のような感染予防に対する諸経費は、物凄く莫大なものとなります。

かかる経費は保険の診療報酬に加算されることはありませんし、別途に患者さんへ請求できるものでもありません。
すべて、医療機関側の持ち出しです。

でも、金銭的な問題は、実はそれほど大した問題ではないかもしれません。
医療人としての責任感と誇りで、何とかなる可能性があります。
(持ち出しが長期化すれば、それも無理ですが、、、)

問題は、もうひとつの方です。
もし、下記のような条件を具備することができずに、安易に診察を受け入れ、その後トラブルが起きたならば、その責任は全て医療側に覆いかぶさります。


自分の医療機関から複数の感染者が出た、、、
2人目以降の感染者は、自分のところで院内感染したことを完全否定できない、、、
その時に国から勧告されている下記のような要件への対応が完璧でないことが判明したとき、厚労省は許してくれますか?、マスコミは擁護の報道をしてくれますか?。


使命感から、赤字覚悟で困難な選択をしたものの、結果が悪ければ、マスコミから一方的に叩かれる、、、
毎度のことですが、これでは心が持たないでしょう。



そして、立地の問題、敷地の問題、、、
これはもう、どうにもなりません。



==========================


1)すべての医療機関において、すべての外来患者に対する何らかのスクリーニングを行う。最近の渡航歴、あるいは発熱や咳などのインフルエンザ様症状を指標とし、医療機関の入り口に近いところでその有無をチェックする。
2)新型インフルエンザが疑わしい患者(インフルエンザ感染を思わせる症状があり、かつ海外から帰国後10日以内の人)は別室に誘導を開始
3)ここまでの業務に従事するスタッフは、常時サージカルマスクを着用していることが望ましい。もちろん、すでに判明している他の感染症に対する経路別予防策(接触・飛沫・空気)は継続する。
4)誘導を開始する時点で、スタッフは接触・飛沫・空気予防策のすべてをとることを開始する。具体的には、ガウンと手袋、ゴーグルまたはフェイスシールド、N95マスクを着用する。患者にはサージカルマスクを着用させる。
5)別室は陰圧個室であることが望ましいが、外来領域にそのような場所を有している施設は少ないと思われるので、他の患者がいる領域からなるべく離れた個室、屋外の開放空間などを使用する。
6)以後、患者が検体検査を受け、新型インフルエンザが否定されるまで、接触・飛沫・空気予防策を継続する。新型インフルエンザ感染が確認された場合は、もちろんそれらの経路別予防策を継続する。
7)患者の入院に用いる病室は、陰圧個室が望ましいが、他の患者と十分な距離を置くことのできる状況では、この限りではない。
8)標準予防策や手指衛生も忘れずに行う。


=========================



「すべての医療機関」と書いておけば、文章を書いた人間に選別する義務はなくなり、全てのお役所とマスコミは考える手間が省けます。
このような勧告を掲げておけば、具備すべき条件を漏らした責任はすべて医療機関側になります。
これは厚労省や社保庁がいつも使う常套手段です。


小規模医院の個人経営者は、このことを経験的に知っています。



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コメント
この記事へのコメント
厚労省の牟田口化…なんでしょうかねぇ…。
「諸君、担当医は、院長命に背き患者の診察を放棄した。受け入れ態勢がないから医療は出来んと言って患者の診察を勝手に断りよった。これが病院か。病院は受け入れ態勢がなくても受け入れをしなければならないのだ。検査キットがない、やれタミフルがない、リレンザがないなどは診察を放棄する理由にならぬ。

(中略)

担当医には応召義務があるということを忘れちゃいかん。病院は公立である。市長が守って下さる・・・」

以下、訓示は一時間以上も続いたため、当直明け通常勤務後の残業の連続で、抵抗力の落ちている医師がウイルスに罹り、病気で抵抗力の落ちた入院患者および外来患者に伝染する事態となった。

…。
……。
………。

…みたいな事になっちゃったら、誰が責任を取ってくれるんでしょうね…。

「リソースは提供しない、でもやれ」って…思いっきり牟田口ですよねぇ…。
2009/05/08(金) 15:32 | URL | 都筑てんが #-[編集]
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2009/05/08(金) 16:06 | 東京 外科.com
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