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ウイルスの自然淘汰を期待したいけど
2020年06月05日 (金) 22:20 | 編集
 
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために、世界各地で水際対策や大規模な集会の禁止をはじめ、果ては都市封鎖まで、さまざまな対策が取られてきました。
これらの対策には一定の効果があり、感染の広がるスピードが抑えられたと考えられます。
罰則付きの強力な制限を加えた国でも、それを無視する国民が多かったり、日本のように強制力のない要請レベルでしかできなかったり、その抑制効果には限界があり、我が国においても感染自体はゆっくりと広がり続けています。

今回の新型ウイルスは「ある意味で非常に優秀なウイルス」で、裏を返せば「非常に厄介なウイルス」です。
通常の新型ウイルスであれば、感染の拡大を遅くする「いわゆる時間稼ぎ」は非常に有効です。
感染症の拡大が遅くなれば収束も遅れるわけですけど、毎日の新規患者の発生数は少なくなるので、医療機関がパンクすることを防ぐことができます。これは今回の新型コロナウイルスでも言えることで、日本の今般の政策でも、この医療崩壊防止の点に関しては、なんとか乗り切ることができていると言えます。

しかしもう一つの視点、ウイルスの自然淘汰を期待するということに関しては非常に厳しいものがあるのです。
毒性の強い(致死率の高い)ウイルスは、短期間の間に感染した人を殺してしまうので、素早く別の人に再感染しなければならない、、、そうでなければ、感染した人が死ぬときに、体内のウイルスも消滅してしまうので、そのウイルスの系統は途絶えてしまうのです。
それに対して、毒性の弱いウイルスは、感染した人を殺さない、もし殺すとしても時間がかかる、、、だから、その系統はなかなか途絶えません。
よって、感染するペースを遅くすればするほど、毒性の強い系統は自然淘汰され、毒性が弱い系統ほど生き残る、、、つまりウイルスは弱毒型に進化するということです。
ウイルスの進化はかなり速いので、実際にインフルエンザウイルスなどは1~2年で弱毒化した例もあります。

しかし今回の新型コロナウイルスは、エボラや高病原性鳥インフルなどに比べて、もともと致死率が圧倒的に低いわけで、決して強毒とは言えず、むしろ当初から弱毒であったと言えます。
しかも潜伏期間が長く、発症前から感染力がそれなりにあって、ウイルス自身が生き残る要件を最初から具備しているという、、、とにかく人がバタバタと死んでいくということはありませんが、感染収束に向けては高いハードルがあるウイルスです。
つまり、エボラのような「恐怖のウイルス」ではないが、本当に「厄介なウイルス」であると言えます。
生命への脅威は少ないが、経済への脅威は多大であるとも言えます。



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