2021年01月21日 (木) 22:25 | 編集
今から約40年前、フォーク野郎だったおいらの当時の印象としては、歌の上手さなら松山千春、心にドスンと届く歌詞なら吉田拓郎だろって思っていました。(ちなみに吉田拓郎はメロディーメーカーとしても秀逸でアイドルへの楽曲提供など趣深し)
しかしながら、歌詞について言えば「さだまさし」という無視できない存在がおりまして、彼にしか書けない独自の詩の世界というのがあって、これはファンでなくても注目せざるを得ない部分であります。
彼の代表曲に「案山子」というのがあります。
田舎から単身で都会に出た息子を思う父(歳の離れた弟を思う兄という説もあり)の心境を綴った歌です。

【元気でいるか 街には慣れたか 友達できたか 寂しかないか お金はあるか 今度いつ帰る】
、、、この有名な歌い出しで始まります。
若い頃は、単に地方在住の人の親心をうまく歌った歌だなあ、という感じで聴いておりました。
ところが、自分のセガレがこの歌詞の中の息子と同年齢になった頃からは、、、
【お前も都会の 雪景色の中で ちょうど あの案山子の様に 寂しい思い してはいないか 身体を こわしてはいないか】
このあたりの歌詞ににグッとくるようになってしまいました。
そう、これは聴き手側が齢を重ねるに従って、受ける印象が変わってゆく歌の代表なのですね。
こんな歌詞を20代の頃に書いてしまう「さだまさし」という人の感性には畏れ入るばかりですが。
で、自分の年齢もそうですが、時代のうつろいというのは、さらに残酷で、さすがのさだまさしの詩も、現在では時代についてゆけなくなっております。
【山の麓 煙吐いて 列車が走る】
今や煙を吐く列車は観光用でしか走ってませんけどね、まぁそれは大した問題ではありませんで、、、
【手紙が無理なら 電話でもいい「金頼む」の一言でもいい】
この部分はね、、、今や完全に時代錯誤と言われちゃうでしょうね。
【手紙が無理なら電話でもいい】、、、電話なんてほんと無理、って言われちゃいそうです。
【電話が無理ならメールでもいい】になるんでしょうか、、、いやいやメールなんてやんねぇし、みたいな。
【メールが無理ならLINEでもいい「金頼む」のスタンプでもいい】ですかね。
そもそも今ならインスタグラムで案山子のコスプレして雪まみれになった写真をUPしたりなんかして、、、もう身もふたもないですな。