2021年02月16日 (火) 22:21 | 編集
いきなり電話がかかってきて「母さん?、オレオレ、、、」から始まる高齢者を狙った詐欺の通称を「オレオレ詐欺」と言います。
この秀逸な通称、日本全国に浸透しましたよね〜。
しかしながら、浸透後は紆余曲折を辿ることになります。
2004年11月までは「オレオレ詐欺」と呼ばれていたものの、手口の多様化により「名称と実態が合わなくなった」として、警察庁は、特殊詐欺の4つの型(なりすまし詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺)を総称して、2004年12月9日に統一名称として「振り込め詐欺」と呼ぶことにしました。
2013年3月、振り込ませるケースが減少して、再び実態に合わなくなったため、警視庁は新たな名称案を募集。
5月12日に新名称が発表され、「母さん助けて詐欺」が最優秀、「ニセ電話詐欺」・「親心利用詐欺」が優秀作品として選出されて、この3作品は主に広報において振り込め詐欺と併用されるようになりました。
しかし、最優秀の「母さん助けて詐欺」は被害者が父親であるケースもあるなど実態にそぐわず、また本来の詐欺行為の定義を狭めてしまうことが指摘され、実際に静岡県警は「母さん助けて詐欺」を使用せず、その一方で、福岡県警と茨城県警では「ニセ電話詐欺」を、山口県警と鹿児島県警では「うそ電話詐欺」を、千葉県警では「電話de詐欺」を、熊本県警では「電話で『お金』詐欺」をそれぞれ採用したという、もう何がなんだかのカオス状態が続き、、、結局のところ日本全体では「オレオレ詐欺」だけが定着して、今に至っているというね。
似たような例では、通称「ヨコヨコ」こと、略称「横横道路」、正式名称「横浜横須賀道路」があります。
おいらが大学に入学したばかりの1984年4月に衣笠ICまで開通した横浜横須賀道路ですが、その当時、部活の先輩達はフツーにクルマを持っていて、横須賀の大学から都内の試合会場へ向かう際に「ヨコヨコで行こうぜ」と、アクセルベタ踏みでブッ飛ばしておりました。
当時「日本一高い」と言われた通行料金(44.00円/km、ちなみに第3京浜は15.70円/km)をものともせず、躊躇なく払うその姿を「うわ〜金持ち〜」と思いながら眺めていたのは遠い昔の思い出です。
当初は「南横浜バイパス」として計画されましたが、後に正式名称を「横浜横須賀道路」と決定、その際に道路公団は略称を「ハマスカ道路」にしたかったようです。
しかし、お役所が仕組んだ「ハマスカ」は定着せず、自然発生の「ヨコヨコ」が今に至るまで浸透し続けていて、現在では道路標識にも「横横道路は左車線へ」などと表記されています。
同様な例は鉄道にも、、、旧国鉄時代には、山手線や京浜東北線など首都圏の通勤電車の通称を「国電」と呼び、広く定着していましたが、分割民営化でJRが発足、、、その際に「国電」という通称をどうするか?、ということで有識者を集めて新しい通称を決定しました。
その名も「E電」と言いまして、当時は駅構内の案内板にもバッチリ表記されていましたが、そのあまりのダサさに全く定着する気配もなく、ほどなく自然消滅いたしました。

やはり、頭は良くてもアタマがカタイ人達が策定した通称や略称というのは定着しないんですよ。
結局は自然発生的に出てきたものが最優秀作というね。
「えのすい」や「くげプー」や「テラモ」もそうですけど、今や全国区の通称「江ノ電」だって、おいらが子供の頃の正式社名は「江ノ島鎌倉観光」でしたからね。
その後、通称の方に歩み寄るカタチで正式社名も「江ノ島電鉄」に変更されましたです、はい。