2021年06月21日 (月) 22:27 | 編集
東京五輪の開幕までもうすぐあと1ヶ月、、、今夏の東京五輪開催に反対する人の割合は、マスコミ各社によってバラツキはあるものの、先月中旬の朝日新聞の世論調査では驚愕の83%(中止が43%、再延期が40%)でした。
朝日新聞の世論調査だということを差し引いても、これは驚愕の数字です。
ここまで国民世論が一方に偏っているというのは本当にすごいことです。
今夏の五輪開催に反対する人、賛成する人、どちらの言い分やその論拠も解るので、どっちが正しいかなどと言うつもりはありません。
ところが最近になって、日本が五輪開催に向かって動いている現状を「まるで戦時下のようだ」と表現する人が妙に増えています。
これには大きな違和感を感じます。
戦前〜戦中の我が国が「勝てる見込みのない戦争」に突き進んでいく様を、「勝てない戦争=東京五輪」に見立てている人が急増しているのです。
国民の多くが反対しているのに「勝てない戦争=東京五輪」に突き進む政府、、、これはまるで戦時下のようだ、という論法ですが、当時の開戦前、多くの国民はアメリカとの戦争に反対していたのに政府が強引に開戦したのでしょうか?、、、違いますよね。
国全体が「開戦やむなし」の空気に包まれていた、、、というのが正しいと思うんですよ。
自分も昨年からコロナ禍の日本を「まるで戦時下のようだ」と表現してきましたが、これは「勝てない戦争=新コロとの戦い」に見立てていたわけで、今の世の中の論調とは真逆です。
そもそも新型ウイルスとの戦いに完全勝利などありません。
ましてや今般の新コロのような「感染力が強く致死率が低いウイルス」を完璧に封じ込めることなど到底不可能です。
なのに現在までの日本社会は「ゼロコロナ社会」を目指して「新コロとの戦争に国民一丸となって邁進」しております。
去年の一時期、あれほど言っていた「ウィズコロナ」は一体どこに行ってしまったのでしょう。
戦争というのは、戦争当事国にとって非常にコスパの悪い行為で、負けた方はもちろんですが、勝った方も多くの人命を失うのはもちろん、国の経済状態が極めて悪くなります。
だから国の指導者は、長期的視野に立った場合、国際紛争の解決手段として、戦争を可能な限り避けようとするのは当然です。
しかし、軍隊を司る者は目下(もっか)の戦況悪化をとにかく嫌います。
敵の勢力が増強してくる前に封じ込めることを主張します。
軍人は戦闘に関する専門家ですから、戦時下においては軍人の発言力が強くなるのは当然です。
もちろん戦中〜戦後は国の経済は大きく疲弊しますが、軍人がそれを考慮した発言をする必要はありません。
それを考えるのは国のトップに立つ政治家の仕事です。
医療従事者は目下の感染状況悪化をとにかく嫌います。
感染が広がる前に封じ込めることを主張します。
感染予防に関する専門家は医療関係者ですから、コロナ禍において医療人の発言力が強くなるのは当然です。
もちろんコロナ禍の最中〜コロナ禍後は国の経済は大きく疲弊しますが、医療人がそれを考慮した発言をする必要はありません。
それを考えるのは国のトップに立つ政治家の仕事です。
新聞やラジオ、テレビなどは、最前線の人たちの奮闘ぶりを報道します。
一般国民は「兵隊さんたちは私達のために命をかけて戦ってくれているのだから皆で感謝をし、銃後の暮らしを引き締めましょう」「身を粉にして国民の生命を守るために奮闘している医療従事者の皆さんに感謝し、日常生活の感染予防を徹底しましょう」などと、敬意と感謝を表し、感染拡大防止のために自らに自粛した生活を課し、旅行や遊興は控えて「欲しがりません勝つまでは」をスローガンにするのです。
戦時下でもコロナ禍でも、最前線で戦う人達に対して尊敬と感謝の念を持つことは、とても大切なことです。
しかしながら、世の中の雰囲気が自粛を過度に強要する同調圧力となってくると、世の中の方向性と違うことを言ったり、娯楽や遊興に走ったりすると、非常に強い非難や圧力を受けることになります。
現在のコロナ禍では「自粛警察」、戦時下では「隣組」がその役割を担い、全体の方向性から逸脱した人は戦時下では「非国民」と言われました。

戦争が長引いて生活は苦しくなる一方なのに、家の外では文句など言えなかった戦時下と異なり、最近では一部の「非国民」が徐々に声を上げつつありますが、これはある意味で健全な傾向だと思うものです。
もしも医療界の重鎮(例えば尾身会長や中川会長)が政治の中枢に入って首相に選出〜厚労大臣も兼務、などということになれば、新コロとの戦いを最優先して他のことは後回しの政策を実行するでしょうから「まさに戦時下と同じ」なわけですけど、現時点ではそうなる可能性は極めて極めて低い、、、これもまた健全なことであります。
しかしまぁなんですなぁ、、、戦時下では国の経済が軒並み疲弊するわけですが、そんな中でも景気が良い業種があります。
いわゆる軍需産業というやつで、例えば兵器工場とかです。
そういえば新コロとの戦争でも多くの産業は軒並み疲弊していますが、そんな中でも景気が良い業種がありますね。
手指消毒液などはまさに兵器そのもの、、、それから感染予防のためのネット通販やリモート会議、、、どちらもコロナとの戦争におけるいわゆる軍需産業ですものね。
やはり「今はまるで戦時下のよう」でありますな。