2022年05月27日 (金) 22:27 | 編集
よく政治家さんが、選挙の時の公約に少子化対策を掲げるじゃないですかぁ。
でも成功させた人ってのは誰もいないわけです。
ありがちなのは「子育て支援」と称して、若い夫婦が子育てしやすい環境を整えることを訴えるんですけど、これ自体はとても大切なことです、、、でも少子化対策としてはほとんど意味がない、要するに「的外れ」であることに多くの人は気づいてないんですな。
少子化を語るときに出てくる用語に「合計特殊出生率」ってありますよね、、、1人の女性が一生の間に産む子供の平均数です。
15~49歳の女性が産んだ子供の数を、それぞれの年齢別の人口で割って合算します。
人口を維持するには2.06~2.07が必要とされます。
自由で民主的な国々は、ほぼほぼ2を切っていて、先進国と言われる国では2を大きく下回っています。
アメリカでも約1.8でして、移民によって人口を維持しているというのが解ります。
日本はなんと約1.4ということで、少子化まっしぐらです。
この「合計特殊出生率」でよく勘違いされているのが、「今の日本の家庭って平均1.4人きょうだいなんだ〜、そりゃ少子化するわ」っていうもので、これは大いなる間違いです。
合計特殊出生率は「女性すべての平均」ですから、生涯独身の女性もその数に含まれているんですよね。
何が言いたいかというと、実は戦後に核家族化が進んでからは現在に至るまで、ひと組の夫婦が何人の子供を作るかという点では、ほとんど変化がないんです。
要するに、一旦結婚してしまえば作る子供の数はとりたてて減っているわけではないので、少子化の根本的原因は「若い夫婦が子作りに消極的になった」ではなく「結婚する人が減ったから」ということなんですな。
1980年代までは、生涯一度も結婚しない人は20人に1人もいなかったのに、今では4〜5人に1人が結婚しない状況です。
2040年頃にはこれが、3人に1人になっていると予測されています。
「結婚はしたくない」という人がいて良いし、そういう人が変な目で見られない社会の方が良いに決まっています。
裏を返せば、50年以上前の昔は、本人の気持ちなんか二の次で「早く結婚しなさい」と周囲がうるさかったわけで、我々の親世代、昭和中期では、ほとんどが「お見合い結婚」でした。
お見合い結婚は、まさに当時の結婚製造マシーンでありまして、今からしてみたら「周囲の余計なお節介」が日本の制度として定着していた(当時は”余計”ではなかった)わけですね。
それが昭和後期に入ると、お見合い結婚は急激に衰退し、とって代わるように恋愛結婚が増加いたします。
ただし、それまでの強力なお見合い結婚の穴を完全に埋めるところまでは出来ませんでした、、、第3次ベビーブームが起きなかった所以です。
お見合い結婚にとって代わった恋愛結婚ですが、昭和後期〜平成前期までの恋愛結婚の多くを占めていたのが「職場恋愛」からの「職場結婚」そして「寿退社」の一連の流れです。
しかしその職場結婚も平成中期以降は急激に衰退してゆくことになります。
その理由はもうお分かりですよね、そう「セクハラ」の問題です。
職場に気になる異性がいても、リスクが大きくて、一歩を踏み出しにくくなっているんですね。
現在の恋愛結婚の中心を占めるのは「友人・知人の紹介」だそうで、あぁなるほどな〜、、、という感じです。
しかし、それまでの職場結婚の穴を埋めるところまではできず、現在に至る、、、ということです。
若者の経済的事情で結婚に踏み切れない、というのも要素のひとつとしてあるとは思いますが、それよりもなによりも「お見合い結婚」と「職場結婚」という強大な仕組みが機能しなくなった、というのが大きいです。
以上のようなことを勘案すると、日本の少子化は既定路線で、止めることなどできないんだな〜、と思います。
本人の気持ちが尊重され「余計なお節介」がタブーになり、相手がどう受け止めるかが重要視され「セクハラ」がタブーになり、思えば日本の少子化は必然であったわけですね、、、そしてもう戻ることはない、と。