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国民皆歯科健診
2022年05月31日 (火) 22:26 | 編集
 
一昨日の日曜日(5月29日)に産経新聞が「政府は歯科健診の国民全員への義務化を検討している」と報じました。
6月上旬にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」いわゆる骨太の方針に明記して、令和7年頃の導入を目指すというんですな。

国民皆歯科健診は、2021年6月に発足した自民党内の議員連盟「国民皆歯科健診実現議連」を中心に提言されていて、昨年10月の衆議院選挙では、自民党の公約にも記されていました。


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歯周病を放置することは、糖尿病をはじめとした命に関わる様々な全身疾患の誘発に繋がることが以前から知られているので、「国民皆歯科健診」の導入によって、長期的には医療費の抑制を図るという狙いがあることは十分に理解できます。

しかし、導入に向けてはかなりの紆余曲折が予想されます。
「国民全員への義務化」というからには、全ての年齢を対象に毎年健診を行い、受診率100%を目指すということなんでしょうけど、例えば我が藤沢市で行われている成人歯科健診(受診者の自己負担金は¥500)の受診率は、やっと10%に届いたところです。

もう10年近く前のことですけど、保健所からいただいた資料に「昨年の受診率は8.5%、今年の目標値は8.6%」という記載があるのを見て「あ〜行政はやる気無いんだな」と思ったものでした。
歯科以外の例えばがん検診などが軒並み5%増の目標値だったりするのとあまりに対照的で、思わず笑ってしまったものでした。

ちなみに、藤沢市では現在、20歳から5歳刻みで80歳までが対象(ただし75歳は対象外)です。
以前は20歳から5歳刻みで75歳までが対象でした。
もっと前は40歳から3歳刻みで75歳までが対象でした。
そうなんです、歯科健診のための財源の枠は決まっていて、その枠の範囲内でやりくりしてきたということなんですな。
全国規模で見ても、全ての年齢を対象に毎年高い受診率を目指すのであれば、必要な経費、財源の問題は大きくのしかかることでしょう。

以下は私見、あくまで自分勝手な予想ですが、今般の国民皆歯科健診は、国民の多くがイメージする「従来型の歯科健診」ではなく、唾液検査になるかもしれないと思っています。
要するに「病気発見型」の検査ではなく「リスク発見型」の検査になるのではないか、と。

昔の医療では、各臓器の病理学的変化が自覚症状を引き起こすまで待って治療していました。いわば後手後手の治療です。
しかし、現在では患者さんが自覚症状を持たない初期の生体反応を検出し、それに対して医学的な対応を行なっています。
特定健診(いわゆるメタボ健診)などはまさにそれでして、リスク発見型検査の代表格です。
しかし歯科ではその部分が圧倒的に立ち遅れているという現実があります。

わかりやすい例でいうと、同じ年頃のお子さんが同じように歯磨きをしていても、ムシ歯になる子とそうでない子がいます。
ムシ歯のなりやすさ、要するにムシ歯に対するリスクが高いか低いかに差があるからです。
このリスクを見つけてあげて、ムシ歯にならない手立てをたててあげよう、リスクの高い子を重点的に管理して全体のムシ歯を減らそうというのが、「リスクファインディング(リスク発見)」という近年の予防歯科の考え方です。
それまでの「早期発見&早期治療」よりもさらに一歩進んだ考え方で、しかも唾液を採取するだけですから簡便で、検査対象者が増えれば相対的にコストが安くなります。

唾液検査のメリットは、歯科医師や歯科衛生士でなくても検査ができるという点にもあり、これは人件費の削減につながります。
そうなんです、メタボ健診の検査項目の中に唾液検査を組み込むことも可能でしょうし、学校であれば先生の指導のもと、クラス全員で一度に行うことも可能です。

さらに一歩踏み込んで考えれば、現在行われている乳幼児健診、学校歯科健診を唾液を使ったリスク検査に変更してしまえば、検査を担当している歯科医師に対して支払われている人件費を大幅に削減することが可能です。
まぁさすがに3年後にそれが行われるってことはあり得ないでしょうけど。



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